あしたやに山羊皮のバックやお財布がおいてあるのをご存知ですか? どれも個性的な模様、色実ははるばる船でインドから届きます。
インドの山羊革工芸は、平和を願い、さまざまな活動をしたインドの詩人タゴールが、日本で出会った革工芸を自国に持ち帰ったのが始まりと言われています。
シャンティニケタンとは、サンスクリット語で[平和郷]を意味する言葉。今では、その地で始められた山羊革工芸をも指すようになっているそうです。
今回はこれらの製品がどのように作られているかをご紹介します。 まず、マーケットでなめした革を仕入れます。皮をなめす方法には二つあり、植物のしるでなめすタンニンなめしと化学薬品でなめすクロムなめしです。クロムなめしのものは、燃やすと六価クロムという有害物質を発生します。また、皮を手に入れるためだけに山羊が殺されることはありません。
それから、製品の型に合わせて革を裁断し、模様を型押しします。そのあと、布を丸めた小さなものを筆のように使い、色を塗ります。草木染めではこれだけの色はでないので化学染料を使っていますが、有害物質のアゾを含まない染料です。
実際にやってみるとわかるのですが、細かい部分をぬるのはむずかしく、時間もかかり、ひとつひとつて塗っていくのはとても根気のいる作業です。筆を使うことはできないのかと思いますが、コストの面で厳しいそうです。
表面のつやも皮に含まれる天然の油分を圧力をかけて出します。ほんとうに自然のままなので、直射日光や水に強くはありませんが、使い込むほどにやわらかく手に馴染み、あめ色の輝きが増していきます。
この山羊革製品を作ってくれるチャタジーさんは、バングラデッシュからの難民でした。インドの西ベンガル州に移り住み、そこで山羊革工芸を学んだそうです。
今なお、毎日のようにやってくる難民の人たちにとって、かけがえのない仕事となり、ひとつひとつ作られているこれらの製品には、平和を願うたくさんの人の思いが込められています。